シリーズ『自然農の壁』
前回までは経営の外部要因から考察しましたが、今回から経営内部から壁を見てみましょう。
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自然農が広まらない栽培要因については様々あろうかと思いますが、
私は
①高度な栽培技術
②安定性の欠如
③低い労働生産性
この3点にほぼ集約されると思っています。
また、これらは相互に関係し合っています。
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<1.高度な栽培技術>
みなさんは、自然農と聞いて何を想像されるでしょう?
「自然 豊か」
「自然の力を生かす」
「太陽、草花、大地」
自然と寄り添う農業というイメージでしょうか。
自然農法は
①肥料、農薬、除草剤を用いず
②土壌の力を最大限に発揮して
③植物の健全な状態を維持する
そして、素晴らしい農産物が生まれる(←と思っています)
まとめると簡単そうに聞こえるかもしれません。
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たしかに作物は植えてしまえば ”ある程度は” 収穫できます。
しかし、それで生活が成り立つようになるかというのは別問題になります。
すなわち
①農薬を使わずに病害虫被害を抑え
②除草剤を使わずに雑草に負けない樹勢を維持し
③肥料を使わずに損益分岐を超える収量を得る
かつ、品質の良い作物を生産する
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つまり
①いち早く病害虫・生理障害の発生を察知し(危険予知)
②気象・土壌状態にあわせて温度・水分・整枝ほか管理作業を変化させる
『観察力』
『病害虫・生理障害の知識』
『栽培管理法』
全てにおいて高度な栽培技術が求められ、
その習得に長年を要するのです。