有機物(生命)は土壌にとって大切であり、「生物相がなくなったとき、土壌ではなくなる」と言われます。
有機物は徐々に分解されるため農家は堆肥などを投入します。
有機物の分解速度は温度、土壌水分、粒径組成、土壌pHなど多くの要因が関わりますが、今回は有機物の分解スピードに関係する人為的要因を整理してみましょう。
・・・・。
①単一作物の連作は
土壌微生物の偏りを招き、土壌生物の多様性を失います。連作障害により作物の収穫量が落ちれば、残さ物が減少します。
②畑を裸にする
小まめな除草、休閑期に除草と称し裸地にする行為は、植物相を減少させます。表層の微生物も直射日光(紫外線)により減少します。
③作物残さの持ち去り
病害虫の抑止、畜産への提供目的で残さ物を持ち去ると有機物は減少します。堆肥化したあとに還元すれば土壌有機物は維持されます。
④耕起は
土中に大量の空気が供給され微生物が活性化します。結果、有機物の分解スピードが早まります。行きすぎた耕起は土壌粒団を破壊します。
⑤排水性の悪化は嫌気的な環境になり、微生物層を悪化させます。
⑥化学肥料、とくにチッ素の多用は微生物を一時的に活性化させ、有機物分解が早まります。
⑦農薬の使用は、土壌生物の質、量を悪化させます。
⑧除草剤の使用は、雑草という有機物を失わせます。
・・・・。
こうして見ると
雑草を生かし、裸地にせず、肥料・農薬を使わず、低または不耕起の自然農法が有機物の消耗を防ぎ、地力の維持・向上に寄与しているのが分かります。