弱肉強食という言葉があるように、生物は激しい競争を繰り広げています。
では、勝者だけが強かったのかと言うと、そうでは無いようで、植物にはそれぞれの成長戦略があるようです。
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ジョン・フィリップ・クライムさんという方が提唱した仮説があり、
それは植物の成長戦略をタイプ別に分類した「CSR三角形」や「CSR戦略」と呼ばれています。
競争戦略(C:Competition)~ストレスが小さく攪乱の少ない環境に適応(樹木など)
ストレス耐性戦略(S:Stress)~ストレスが大きく、攪乱の少ない環境に適応(サボテンなど)
攪乱依存戦略(R:Ruderal)~ストレスが小さく、攪乱の大きい環境に適応(雑草など)
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競争タイプは頑健で他者を圧倒する「強者」、普通に戦えば勝利していきます。
では、強者に圧倒された「弱者」はどう戦ってきたのでしょうか?
ストレスタイプは強者でも生き抜くことが難しい乾燥地や高山、低ph地なを選び、不適な環境に適応できるよう「特化」しました。
攪乱タイプは、環境が変化する混沌とした地に対応する「適応力」を磨きました。
「農業は自然に優しい産業だ!!」と言いながら、実は環境に大きな負荷をかけており、耕したり、踏みつけることは植物には脅威となり、そんな混沌とした地に飛び込んだのが「雑草」です。
前回紹介したkingさんの「雑草基本特性」
同じ時代に雑草学者のBakerさんが「雑草の理想的な生態的特徴」を12項目記しています。(私なりに簡単な言葉に要約しました)
雑草は
①様々な環境に適応した発芽要求性を持ち、種子の寿命は長く、成長スピードが早い。
②生育が続く限り種子を実らせ自家和合性(自家受粉)である。が、他家受粉であっても昆虫や風を必要としない。
③良好な環境では多くの種子を、不良環境下でも僅かな種子を実らせ、広範囲に種子をばらまく。
④多年草の場合は旺盛に繁殖し、切断されても断片から再生し増殖する。また、耕起などの人為の及ばない場所にも芽を残す。
⑤アレロパシーをもち、種間競争を行う。
うーん、どれも、まさしく!と頷いてしまいますし、④などは、むしろ刈られることを歓迎しているかもしれません。
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雑草やサボテンは、まともに戦っても巨木には勝てません。
しかし、厳しい環境や混沌とした場所に活路を見いだし、自らを進化させてきました。
そういえば、「雑草魂」に似た「何苦礎」ですが
「苦しむことが礎となり、新しい日が来る」という意味だそうです。
何度抜かれても
何度ちぎられても
何度踏まれても
雑草は わたしたち人間を下から見上げて
「何苦礎!」と言っているのかもしれません。