農業近代化で受けた恩恵はたしかに大きい。
肥料・農薬は収量・品質を安定させ
除草剤、機械化は労働強度を劇的に改善させた。
流通網の整備により、農産物をハイスピードで移動させることに成功した。
農産物の価格は安値で安定し
国民経済に寄与したという。
しかし得るものがあれば、失うものもある。
農地と消費地は物理的に離れ
産消の「心の距離」まで遠ざけた。
農業近代化の歴史は
産消分断の歴史でもある。
・・・・。
わたしたちは飢えを知らない。
それどころか「飽食」と言われて久しい。
世界に誇る水田農業が減り続ける一方で、大量の穀物を輸入している。
こんな時代にあって
『食』『農業』『土』の大切さが忘れ去られていく気がして少し心配になる。
農業は列島の原風景を形成し
日本固有の文化を育んだ。
土の温かさ
自然の恵みを知らないものたちが
この先どんな文化を創造していくのだろうか。