前回は温暖な気候ゆえの草・虫・菌の繁殖についてお話ししました。
栽培上の話しを続けても良いのですが、今回は一風変わった視点からです。
・・・・。
去年の夏のことです。
農家の友だちと畑の片隅に腰掛けて井戸端会議をしました。
その友だちは私とほぼ同じ40代前半で、昨年お父さんから経営移譲されたばかりの一般栽培水稲農家です。
色々な話しをしましたが、新しいもの好きの友だちは私の自然農に興味津々。
私「そんなに気になるなら少しやってみれば?」
友だち「うーん、やりたいけど親父がなんて言うかな~」
私「経営権はお前に移っているんだから好きにしたら良いじゃないか」
友だち「でも、うちの親父がな~・・・」
どうですか?
実は経営移譲された子供が新しいことに取り組もうとする時にお父様(家族)の反対で断念してしまうことが農村では結構あり、私はそれを
農村あるある 「親父の壁」と呼んでいます。
お父様も子供に経営を譲ったとはいえ、元気ばりばり!!
「俺の目の黒いうちは!!」などと言い出したら大変です(笑)
この壁、なかなか分厚く手強いようで、若い農業経営者の前へ立ちはだかり新規分野への挑戦を妨げているかもしれません。
あくまで私の推測ですが(←邪推です)
有機農業や自然農に取り組む新規就農者が多いのは、この「親父の壁」が無いことが関係しているとも思っています(笑)
しかし、この「親父の壁」
子供がお父様に尊敬の念を持ち、誠実に話し合いを続け一度乗り越えてしまうと大きな見方になるようで、かわいい子供のためせっせとお手伝いをしてくれるようです。
もしあなたが、若く経営移譲されたばかりの方が栽培した自然農野菜を手にしているならば
その野菜は
お父様を粘り強く説得した誠実な若者と
頑固ながら子供思いの優しい「農家の親父」
仲睦まじい親子の愛情がたっぷり詰まった「逸品」かもしれません。