土壌には植物にとって有益な菌がいます。
今回は植物と相利共生関係にある「根粒菌」と「AM菌根菌」について書いてみましょう。
(用語解説)
「菌根」とは菌類と共生している根のことをいい、その根に共生している菌を「菌根菌」と言います。
菌根菌は植物の根に菌糸を侵入させ、根から糖分を分けてもらう代わりに、土壌中の養分を伸ばした菌糸で吸収し、植物に供給しています。
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代表的なものではマメ科と共生する「根粒菌」がいます。
根粒菌は空気中の窒素ガスを取り込み、植物が吸収アンモニアに変えて供給しており「チッ素固定」と言います。共生できるマメ科植物がいないとときは普通の微生物として暮らしています。
根粒菌以外でチッ素固定する菌として、樹木と共生する「フランキア」も有名です。
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他に有名な「AM菌根菌(アーバスキュラー菌根菌)」は現在150種類ほどが同定されています。
AM菌根菌は、リンや亜鉛、銅など植物が吸収しにくい養分を吸収してくれます。
特にリンは土壌に吸着されやすく、植物の根はわずか数ミリの範囲のリンしか吸収できませんが、根周辺に菌糸を張り巡らせ離れた場所のリンを運んでくれます。
根粒菌がマメ科としか共生しないのに比べて、AM菌根菌は多くの植物と共生しますが、アブラナ科、ヒユ科、タデ科とは共生しません。
一方、大豆や小豆、じゃがいも、人参、ネギ類などはAM菌根菌の依存度が高いと言われています。
根粒菌やAM菌根菌の活性を高めるには、エネルギーを供給する宿主(植物)が元気であることが必要です。
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土壌菌と言うと、植物に害をなす病原菌を思い浮かべるかもしれませんが、有益な菌は沢山存在しています。