家計と経営、農業と人流

今日はテーマを2つほど。

 

<①家計と経営の分離>

農業経済の分野では、家族農業経営の問題として「家計と経営の分離」をあげています。

 

家族経営の私としてもドキッとする指摘で、経営の通帳から家計費を引き出したり、収穫した野菜を食べたりしますので当然の指摘かもしれません。

 

まぁ、これは些細な指摘ですが、

問題視されているのは「家族労働費」を適正に評価していないことです。

 

企業では人件費を適正に評価し販売か価格に転嫁しますが、家計と経営が一体となっているため、生産費を下回っていることに気付きづらい体質になっているという指摘です。

 

それで、どうしているのか?

 

安い労働単価を膨大な労働時間でカバーしています。

 

農業収入は 収量 × 単価です。

単価とはモノの価値であり、直接費・間接費に「労働費」を含むモノです。

 

家計と経営は分離した方が良い。

たしかに、そう思います。

 

<②農業と人流>

農業と他産業を比べたとき、不思議な現象があります。

 

農業から他産業への転出は多いのですが、

他産業から農業への転入は少ないのです。

 

最近は新規就農やUターンが増えていますが、全体から見れば微々たるものです。

 

初期投資が多い。

農地の確保が難しい。

栽培技術の習得。

 

様々な問題が指摘されていますが、それ以上に労働生産性の低さが問題視されています。

 

出荷規格の高度化

高品質志向

食の安全・安心

環境問題

 

全て疎かにできません。

でも、コストはかかります。

 

生産性が低い、というのは産業にとって致命的であり、

他産業からの新規参入が少ないため、農業・農村ではイノベーションが起きづらいのです。